books: 2008年11月アーカイブ

田中久仁彦「龍骨」

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ラ○ュタは本当にあったんだ!

田中久仁彦画集【龍骨】

というわけで最初にアナウンスされてから8年目にしてようやく入手。早速ページをめくってみると、キャラデというだけでLDを買ってしまったアレとか、連載時のスクラップを後生大事に取ってあるのに新装版が出る度に買い直してしまうアレとか、デザイン画見たさにツテを頼って(以下略)したアレとかアレとか、読みもしないのに表紙目当てで買ってしまったあんな雑誌...って、あれ?載ってないぞ!?と思ったら、

【龍骨】未収録の作品をまとめた補完版(!)画集が発売決定:【龍骨:紅琥珀】【龍骨:碧瑠璃】

...足下しっかり見られてます。いいんです。慣れてますから。

「素晴らしい新世界」

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すばらしい新世界 (講談社文庫 は 20-1)

70年前に目一杯の皮肉を込めて描かれたディストピア的未来とさして変わらない世界に自分は住んでいる、というこの喜劇。いや決して笑うところではないのだけど。

「ところが、今では人々はけっして一人きりにならないのだよ」とムスタファ・モンドは言った。「われわれは人々が孤独を憎悪するように仕向ける。そして、孤独を経験したりすることがほとんど不可能なように人々の生活を設計している」

特に最後の「野蛮人」と総統の問答が浮き彫りにする現代社会の本質は、気持ち悪くなるほどリアルで吐きそうになるほど。非常に読み応えのある一冊でした。

加納朋子「掌の中の小鳥」

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きっかけと呼ぶにも些細なきっかけで手に取った本が、すごく面白くて、しかもあっという間に読み終わってしまい、おまけにその本が、魅力的な主人公たちに出会えた「嬉しさ」と、そんな世界に自分も登場人物の一人として生まれてこなかった「寂しさ」と、でも自分の周りだってそれなりに魅力的だよな...なんて、まるで昼間の暖かさと昨日までの冷気に加えて微かな甘い香りが入り混じった春の夜の大気のような読後感を残していくようなタイプの本だったりすると、本好きにとっては最高のご褒美な気がします。

掌の中の小鳥 (創元推理文庫)

というわけで、今年の夏頃に自分が観たか読んだ(そして面白かった)何かについて書かれた感想の一つに「加納朋子の『掌の中の小鳥』みたいだ」と書いてあるのを見つけて興味を覚え、すぐさまアマゾンに注文したものの、以来ずっと仕事場の机の上に忘れたままだったのを先日ようやく読んだんですが、ミステリーというよりは、誰かの為に用意した手品が一杯詰まったトランクみたいな洒脱でチャーミングなお話でした。手品なので、たとえ一度謎を解いてしまった後でも、次はその手さばきに注目しても面白いし、それとも、その手品を見せる相手のリアクションに注視してみるのも悪くないかな...と。

きっかけっていうのはね、つまらない偶然プラス、ちょっとした作為だってことさ。

それはさておき、その「『掌の中の小鳥』みたい」と書かれたものが何だったのか未だに思い出せません。
ああ...気になる気になる。

加納朋子「ななつのこ」

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明るいけどちょっとぼーっとしたところのある女子大生・入江駒子さんが、ふとしたきっかけで、日常の中のささやかながら不思議な出来事を書き添えたファンレターを大好きな作家に宛てて送ったところ、返事が届いたばかりか、そこには意外な謎解きが...

ななつのこ (創元推理文庫)

というわけで、日常の中のミステリーを描いた、ほのぼの推理小説。全部で七つの短編で構成されていて、それぞれちゃんと「謎解き」も用意されているのだけど...それ以上書くとネタバレになりそうなので以下略。きっとほのぼのします。

加納朋子「魔法飛行」

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駒子さんシリーズ第二弾。日常の中に潜む謎を解いていく駒子さん達。しかし今回は二人のやりとりに加えて「謎の手紙」が登場。果たして手紙の主は?そして手紙の指し示す先は?

魔法飛行 (創元推理文庫)

というわけで今回はちょっとした「大事件」も待っていますが、でも、最後はやっぱり、ほのぼの。

あっけなさすぎるファーストコンタクト、人間の生と死の境界線、宇宙ニート(笑)、不老不死への戸惑い...と盛りだくさんなSF短編集。

フリーランチの時代 (ハヤカワ文庫 JA オ 6-8)

特に面白かったのは事故によって脳以外の機能を失った女性が外部とのコミュニケーション手段を得ることで生まれた新たな人生を描いた「Live me Me」。義体信号で脳としての機能を保っていたはずなのに実は...という部分は瀬名秀明とかシロマサ好きならニヤリとする人が多いんじゃないかな。あと最後の「アルワラの潮の音」は、「南海の海洋民族」とか「謎の巨大生物」とか「時間渡航者」なんて感じの大時代SFっぽさが、他の作品とは違った風味を楽しめて面白かったです。こちらは別作品のスピンオフらしいので本編を読むのが楽しみ。

こちらも「フリーランチの時代」と同じく、行動科学あり、ファーストコンタクトあり、ソ○リスあり...と盛りだくさんの短編集。異種間コミュニケーションに関してはどれも「互いに言葉が通じすぎる」感が強すぎる気がしないでもないけど...そのおかげで気楽に読めると思えば、これはこれで。

老ヴォールの惑星 (次世代型作家のリアル・フィクション ハヤカワ文庫 JA (809))

印象に残ったのが表題作の「老ヴォールの惑星」。地球とは全く異なるタイプの星で、種の滅亡を悟った生物がいかにして危機を乗り切るか...という思考実験の面白さもさることながら、彼らと彼らの住む世界の描写が実に美しくて、これぞSF!

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