加納朋子「掌の中の小鳥」

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きっかけと呼ぶにも些細なきっかけで手に取った本が、すごく面白くて、しかもあっという間に読み終わってしまい、おまけにその本が、魅力的な主人公たちに出会えた「嬉しさ」と、そんな世界に自分も登場人物の一人として生まれてこなかった「寂しさ」と、でも自分の周りだってそれなりに魅力的だよな...なんて、まるで昼間の暖かさと昨日までの冷気に加えて微かな甘い香りが入り混じった春の夜の大気のような読後感を残していくようなタイプの本だったりすると、本好きにとっては最高のご褒美な気がします。

掌の中の小鳥 (創元推理文庫)

というわけで、今年の夏頃に自分が観たか読んだ(そして面白かった)何かについて書かれた感想の一つに「加納朋子の『掌の中の小鳥』みたいだ」と書いてあるのを見つけて興味を覚え、すぐさまアマゾンに注文したものの、以来ずっと仕事場の机の上に忘れたままだったのを先日ようやく読んだんですが、ミステリーというよりは、誰かの為に用意した手品が一杯詰まったトランクみたいな洒脱でチャーミングなお話でした。手品なので、たとえ一度謎を解いてしまった後でも、次はその手さばきに注目しても面白いし、それとも、その手品を見せる相手のリアクションに注視してみるのも悪くないかな...と。

きっかけっていうのはね、つまらない偶然プラス、ちょっとした作為だってことさ。

それはさておき、その「『掌の中の小鳥』みたい」と書かれたものが何だったのか未だに思い出せません。
ああ...気になる気になる。

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このページは、hibikiが2008年11月15日 01:21に書いたブログ記事です。

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