「素晴らしい新世界」
70年前に目一杯の皮肉を込めて描かれたディストピア的未来とさして変わらない世界に自分は住んでいる、というこの喜劇。いや決して笑うところではないのだけど。
「ところが、今では人々はけっして一人きりにならないのだよ」とムスタファ・モンドは言った。「われわれは人々が孤独を憎悪するように仕向ける。そして、孤独を経験したりすることがほとんど不可能なように人々の生活を設計している」
特に最後の「野蛮人」と総統の問答が浮き彫りにする現代社会の本質は、気持ち悪くなるほどリアルで吐きそうになるほど。非常に読み応えのある一冊でした。