http://www.isas.jaxa.jp/j/snews/2007/0425.shtml
松浦晋也さんの記事を読んで今更ながら認識を改めたのだけど、従来の一般的な探査機は
- 軌道投入・離脱時にロケットエンジンを噴射する時以外はわりと静的
- ゆえに姿勢の制御もエンジン使用時以外は基本的に不要
なのに対して、イオンエンジンを用いる「はやぶさ」の場合
- 推力が弱いので運転時間を長く(場合によっては航行時間の3~4割近く)とる必要がある
- エンジンの常時運転という外乱要素に対処するため絶えず姿勢制御が必要
- ゆえに姿勢制御用のホイールの運転時間も長くなる
- さらにホイールを運転する為の電力の確保も常に気にしなくてはない
と少々勝手が違い、さらに
- 当初からイオンエンジンのスラスター4基のうち2基の性能が安定せず、各エンジンの運転時間に偏りが生じた
- そのため堅調な2基の運転時間は既に設計寿命に近づきつつあり、また既に1基の性能が低下しつつある
- ゆえに地球帰還には残り1基で運用することになるかもしれない
- ただし堅調な1基のみだと運転時間が設計寿命を大幅に上回ることになる
- 同じく3基ある姿勢制御用ホイールも2基が不調、残り1基での運用となる
- また頻繁に姿勢を制御しなくてはならないので高利得アンテナの使用が難しい
- その為、衛星のモニタには低利得アンテナによる狭帯域通信を用いるしかない
という非常に厳しい現状。そんな中で
「帰還できないわけじゃない」
って言葉が出てくるのは、すごいなぁ、と思う。運用チームも「はやぶさ」も。