http://www.amazon.co.jp/gp/product/4336047367?ie=UTF8&tag=hotchpotch-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4336047367
孤独な少年の元に愛読書の登場人物が訪れてくる「デス博士の島その他の物語(The Island of Doctor Death and Other Stories)」、木星の白斑上空に浮かぶ療養島に隠された謎と非情な出来事を描いた「アイランド博士の死(The Death of Dr. Island)」、ディケンズの小説をモチーフに不死の世界での死を描いた「死の島の博士(The Doctor of Death Island)」の3部作の中で、個人的に一番面白くて、かつ魅力的だったのは、たとえ細部まで見通せたとしても決して触れられない(=交わらない)はずの自分(=読者)と本それぞれの「世界」をいとも簡単に融合させてしまった表題作「デス博士の島その他の物語」。
きみは本を取り上げて、ページをぱらぱらとめくる。けれども読みはしない。「この本、もうあと読みたくないよ。博士はきっと最後に死んでしまうんだもん」
デス博士は微笑する。「だけど、また本を最初から読みはじめれば、みんな帰ってくるんだよ。きみだってそうなんだ。まだ小さいから理解できないかもしれないが、きみだって同じなんだよ」
この最後のくだりは何度読み返しても素晴らしい。